岸田政権による「異次元の少子化対策」に基づいた育児・介護休業法の改正法が令和6年5月31日に公布されました。令和7年4月1日以降、順次施行されます。
※【参考資料】子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の概要>>>>>
いわゆる育児休業給付金の引上げ(手取り10割)や、 2歳までの時短勤務をしている場合の新たな給付が創設されます。
また、メディアでも話題になりました、子ども・子育て支援金制度の創設に伴い、 令和8年度から「子ども・子育て支援金」の徴収が開始されることが決定しました。
主要な改正内容は次のとおりです。
◆「出生後休業支援給付」の創設(令和7年4月1日より)
子の出生後8週間以内に両親共に14日以上の育児休業を取得する場合に、
最大28日間、給付率が80%(手取りで10割相当)へと引き上げられます。
◆「育児時短就業給付」の創設(令和7年4月1日より)
従業員が2歳未満の子を養育するため、時短勤務をしている場合に、
時短勤務中に支払われた賃金額の10% が支給されます。
◆子ども・子育て支援金の徴収が開始予定(令和8年度)
令和8年度より、児童手当の拡充や、所得制限の撤廃などの財源の確保のために、
「子ども・子育て支援金」を創設し、公的医療保険に上乗せして徴収が開始される予定です。
※徴収額は個々人の収入によって異なります。
◆所定外労働の制限(残業免除)の対象者が拡大(令和7年4月1日より)
(改正前)3歳未満の子を養育する従業員
(改正後)小学校就学前の子の子を養育する従業員
◆子の看護休暇の見直し(令和7年4月1日より)
(改正前)
・名称:子の看護休暇
・対象となる子の範囲:小学校就学の始期に達するまで
・取得事由: 病気、ケガ、予防接種、健康診断
(改正後)
・名称:子の看護等休暇
・対象となる子の範囲:小学校3年生修了までに延長
・取得事由: 病気、ケガ、予防接種、健康診断、感染症に伴う学級閉鎖等、
入園(入学)式、卒園式
◆介護休業等に対する個別の周知・意向確認・雇用環境整備等の措置の義務化(令和7年4月1日より)
介護の申出をした従業員に対し、個別の周知・意向の確認及び
仕事との両立支援制度を利用しやすい雇用環境整備(研修、相談窓口設置等)を
行うことが義務化されます。
◆育児のためのテレワークの導入の努力義務(令和7年4月1日より)
3歳に満たない子を養育する従業員が、テレワークを選択できるようにすることが
努力義務化されます。
◆柔軟な働き方を実現するための措置等の義務化(令和6年5月31日から1年6か月以内の政令で定める日)
3歳以上小学校就学前の子を養育する従業員に「始業時刻などの変更」「テレワーク(月10日)」
「短時間勤務制度」「新たな休暇の付与(年10日)」などの措置から2つ以上選択実施し、
あわせて選択した措置について、従業員に対し個別に周知・意向確認を行うことが義務化されます。
◆仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務化(令和6年5月31日から1年6か月以内の政令で定める日)
妊娠・出産の申出時や、子が3歳になる前に、従業員の仕事と育児の両立に関する個別の
意向聴取(面談や書面交付)・配慮が義務付けられます。
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国が子育て支援に力を入れていることを反映した今回の改正ですが、 会社側も人材に対する考え方を、変えていく必要があるのではないかと感じます。
変化は避けられませんので、むしろ法改正による雇用環境の充実を、人手確保と生産性向上のチャンスに変えていきたいものです。