先日、「中小企業の人材採用・人材育成」をテーマにした講演会を行う機会がありました。講演では、採用のミスマッチを防ぐ方法や、働きがいのある職場づくり、人材育成について、制度と運用、そして実際の事例を交えてお話しました。
実はこのテーマの講演は2014年から行っており、当初と比べると世の中の状況は大きく変化しています。
特に近年は、より一層深刻な人手不足が進行しており、その中で人材を確保することが本当に難しくなってきています。
このような中で、中小企業にとって厳しい現実は、「採用しても定着しない」ということです。
実際、弊社のお客様からもここ数年は「最近退職者が増えている」という声をよく耳にするようになってきました。
その理由はさまざまですが、一つの背景には、企業側がこぞって待遇を改善していることがあります。結果として、より条件の良い企業へスムーズに転職できる環境が整ってきているのです。
つまり、自社で時間をかけて育てた人材が、別の企業へ流れてしまうという悪循環が発生するリスクが常にある、ということなのです^^;
それでは、中小企業ではどのように人材を確保していくべきなのでしょうか?
ここではこのような悪循環を防ぐためのポイントを2つ上げたいと思います。
まず1つめのポイントは「人手に頼らない仕組みづくり」が必要です。たとえば、AIを活用することやDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入により、業務の効率化を進めることが考えられます。
すべてを人の力に頼るのではなく、テクノロジーの力をうまく取り入れることも、人材不足時代の大切な戦略のひとつです。
もう1つのポイントは、「自社に合った人材を見つけて、定着してもらう工夫」です。
もちろん、待遇面では大手企業に勝つのは難しいかもしれません。だからこそ、雰囲気や働きやすさ、自社ならではの魅力を強く打ち出す必要があります。
「この会社で働きたい」と思ってもらえるような、エンゲージメントを高める努力が必要です。
講演後、ある参加者の方が「参考になりました」とおっしゃってくださり、「中小企業にとっては、もう“この会社で働きたい”というマニアックな人を探すしか道がないのかも」と語っていた言葉がとても印象的でした。
たしかにその通りかもしれません!
もしかすると、そんなマニアックな人材がいるのだろうか?!と思われるかもしれません^^;もともと一般的に言われている「いい人材」は、全体を通しても圧倒的に母数が少ないものです。
そのような中で、中小企業であり、かつ自社に来てくれる人材は、たとえて言うならば「宝探し」のようなものかもしれません。
ただ、1つ言えるのは限りなく少ないかもしれませんが「ゼロではない」ということです。これくらい少ない確率であること間違いありません。
しかし、逆に言えば「自社を深く理解し、共感してくれる人」と出会えれば、非常に大きな強みになります。
人手不足の時代だからこそ、数ではなく“質と相性”を大切にする採用が、これからの中小企業に求められているのではないでしょうか。
講演後の受講者さまとの会話で、そのようなことを改めて感じさせていただきました。