7月にWEBセミナーにて「建設業の働き方改革2024年問題」のテーマで講師を務めさせていただきました!建設業の働き方改革の講習会は、これまですでに50回以上講演させていただいております^^
2024年4月1日から、建設業においても時間外労働の上限規制の適用が開始されていますが、引き続きまだまだこのテーマでの講演会のご依頼もいただいております…それだけ関心が高いテーマなのだと感じます。
実際に、建設業の会社様からは、週休2日制への移行についての相談も増えています。
実は、制度自体の週休2日制の導入は、手続きとしては比較的簡単に行えます。就業規則で土曜・日曜日等休日を規定し直して、従業員代表の方から意見書をもらい、就業規則の変更届を管轄の労働基準監督署へ提出することで対応可能です。
ただし、実際の運用にはいくつかの課題があります。まず、就業規則に土曜日も休日とする規定を設けて制度自体は週休2日制にした場合であっても、現場ではまだまだ土曜日も稼働している場合がありますので、この対応をどのように行うか、という問題があります。公共工事などであは週休2日制工事も進めてきていますが、民間工事はまだまだという現状もありますし…。
実務的な対応方法としては、主に2つの方法があります。
まず1つ目は、土曜日に出勤を命じ割増賃金を支払う方法です。週休2日制であっても、就業規則で残業や休日労働を行うことがある旨規定されており、かつ、36協定を締結していて管轄の労働基準監督署へ提出をしている場合、合法的に残業や休日労働を行わせることが可能なため、土曜日に出勤を命じることが可能となります。
ただし、この場合、36協定で規定された時間内(最大でも時間外労働の上限規制内の時間)で対応する必要があるため注意が必要です。特に日曜日を法定休日と定めている場合は、土曜日出勤は法定外休日労働となり時間外労働の労働時間数にカウントされます…
また、最近では入社時に土曜日出勤があることを伝えていても、「週休2日制だから入社したのにだまされた。話が違う!」と感じる従業員が早期退職するケースが増えています。ただでさえ人手の確保が難しい時代に、早期離職されると従業員側も会社側もお互い不幸ですので、入社時にはきちんと明確に実態を伝えておく必要があります。
さらに、固定残業代制度を導入している企業では、土曜日出勤が固定残業代の範囲内とされると、従業員から「損をする」との不満が出て困っている…というご相談もよくあります。したがって、土曜日出勤の場合は固定残業代とは別に残業手当を支払うことを規定する等の対応も検討する必要があります^^;
また、2つ目の方法は、振替休日制度を徹底して活用することがあげられます。
現在では、こちらの方法をできるだけ実施し、できない場合は1つ目の方法(残業代を払う)でカバーするというケースが増えてきています。
ご相談をいただく中では、これまでは代休制度だったために休みの確保ができなかったケースや、振替休日を定めても実際に取得できずに再振替を繰り返すケースが多々見受けられます。ですがこの場合、未払賃金の問題も出てくるため、早急に運用を変えなければなりません…
そこで、振替休日を徹底するようルールを変更し、時間外労働を減らし、休日の確保を優先することが可能となります。
働き方改革を実践するためには、この振替休日をしっかりと確保する運用を行うことがこれまで以上に重要になってくると感じます。
建設業に限らずですが、週休2日制の労務管理は制度を導入するだけでは不十分であり、実際の運用をしっかりと行う環境を整備することが必要です。
特に人手不足の時代には職場環境の整備や改善がますます求められていて、従業員側も休日の確保を優先順位高くする人が増えていますので、休みを確保しつつ従業員が安全に働ける環境を提供することで、企業の生産性向上や人材の定着に繋がっていくと感じます。
建設業で週休2日制の導入を検討している会社さまは、まずはここから実践してみてください^^