企業におけるハラスメントの認識も上がってきていますが、業種や企業規模、企業文化によってハラスメントの捉え方や認識度、実際に悩んでいるケースなど多種多様です。
また、ハラスメントに対する関心度が上がってきてることに伴い、「実際にこういう場合はどうしたらよいでしょうか?」という具体的なご質問をいただく機会も増えてきています。
特に、パワハラと注意指導の線引きがわからない、わかりづらいという点は共通の悩みのようでして、パワハラを怖れて本来必要な注意指導をやりづらい・・・と管理職のかたが悩まれているケースも多いようです。
パワハラに関する質問といえば、例えば、「メールやLINEで注意指導をしてもよいのか?」というご質問もありました。
注意指導をする上司や先輩の立場からすると、言いづらいことを部下に言わなければならないワケで、できるだけそういう場を避けたい・・・サクッと済ませたい・・・という思いもあるかもしれません
そこで、メールやLINEで指摘して済ませたい、という流れにつながるのでしょうが、結論から言うと、注意指導をする際は必ず対面(または対面が難しい場合はzoom等のオンラインMTGシステムやスカイプ、電話等)で行ってください!!!!とお伝えしています。
なぜ、メールやLINEで注意指導することがふさわしくないのかといいますと、2つの理由があります。
1つは、コミュニケーションは双方向で行うことが原則です。具体的には自分と相手がお互いに会話を交わして話を進めていく、という流れが必要です。
ところが、メールやLINEは一方通行のコミュニケーションですので、自分が言いたいことを、いったん一方的に伝えるという流れで行うことになります。
注意指導という場を、メールやLINEで一方的に上司から伝えられても、正直双方向のコミュニケーションを取る場合よりも受け止めにくいことでしょう。(もちろん、双方向を意識してやりとりすることは不可能ではありませんが・・・)
また、一方的なコミュニケーションは、双方向のコミュニケーションより、威圧感を感じたり、ハラスメントとして受け止めるリスクも高くなる可能性があります。
また、もう1つの理由は、文字だけでは本当のニュアンスは伝わりづらい、ということです。
メラビアンの法則という有名な法則がありますが、人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかというと、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合であったと言われています。
この法則からもコミュニケーションは、言葉のみの印象よりも言葉以外の声のトーンや表情、口調、話の早さなども含めたトータルで相手に伝わることになりますが、メールやLINEのみですと、言葉のみでしか伝わらないため、伝わり方も限定的になります。
すると、注意指導する側が意図しなくても、受け取り側が、威圧的に受け取ったり、ハラスメントだと認識したり、という誤解も生じやすくなるのです
こうした経緯からも、注意指導する場合はできれば対面で、そして個別に行うことがベストですが、どうしても難しい場合は、最低でも(文字+声の)電話を使用して行うようにしてください。
実際に、メールで長文で指導をされて、受け取った部下がパワハラだと受け止めたケースや、メールでCCで部署メンバーにもいっせいに注意指導のメールを送られたケースがパワハラと認定されたケースもあります。
結局は、相手側に配慮したコミュニケーションをどれだけ取れるか、というところにもつながりますが、先日記事にしたこちらの研修では、アサーティブコミュニケーションを取ることで注意指導の場が承認の場に変わるということにもつながります。
組織内でもお互いがお互いに配慮したコミュニケーションが取れるようになると、ハラスメントの問題ばかりか組織文化を変革するということにつながるかもしれません
ぜひ、1人1人が相手に配慮したコミュニケーションを心がけていただきたいと思います^^