従業員が新型コロナウイルス陽性と診断され、療養経過後職場復帰する際に、「新型コロナ抗体検査(PCR検査)」を会社負担で実施している場合、会社負担した検査費用は、社会保険の報酬及び労働保険の賃金に含む必要があるのでしょうか?
結論からいいますと、「新型コロナ抗体検査費」は、実費弁証的なものであり、福利厚生の一環であると捉えられますので、社会保険の報酬及び労働保険の賃金から除外して問題ない、という考え方になります。
具体的には 「新型コロナ抗体検査費」が労務の対象となる現物給与に該当するか否かという点が問題になります。
参考資料として、日本年金機構の「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」において、テレワークにかかる実費弁証的な費用が報酬に含まれない、という判断があり、これに倣うと、検査費用は、あくまで一時的であり実費弁償的であるということで、報酬及び賃金に含めないという考え方になります。
・「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部改正について (1ページ、15ページ~参照)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210405T0110.pdf
※ただし、いくつかの年金事務所において問い合わせしたところ、「業務命令の場合で検査を受診させた場合は労務の対象であると判断し、報酬に含める」という回答があった役所もあるため、念のため会社管轄の各役所にご確認の上ご対応いただくことをお勧めします。
また、税務上の取扱いとしては、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ(令和4年2月15日更新)」により、費用を精算する方法により会社から費用が支給される場合は、給与として課税されないとされています。
ただし、例えば、従業員が自己の判断により受けた PCR 検査費用や、あらかじめ検査費用として支給された金銭を、使用しなかった場合に会社に金額を返金しない場合等は給与として課税対象となりますのでご注意ください。
・「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ(令和4年2月15日更新)」62ページ【④ PCR 検査費用、室内消毒の外部への委託費用など】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/pdf/faq.pdf