労務管理

なぜ社外学習・自己啓発をしないのか

経済産業省発行の「未来人材ビジョン」を読みましたが、衝撃的なデータが・・・

なんと、「企業は人に投資せず、個人も学ばない」というキャッチーなタイトルと共に、諸外国と日本との比較で、下記2つのデータが掲載されているのですが、

1)企業の人材への投資→日本は0.1%
2)社外学習・自己啓発について行っていない人の割合→日本は46%

と、諸外国と比較しても圧倒的に少ない^^;のです。

1)の企業が人に投資をしない・・・という傾向は、定期的に取り上げられていて、最近ではリスキリング教育なども進められおり、ここ数年、国としても人材教育に力を入れていこうという姿勢が、助成金制度などにも反映してきています。

2)の個人の社外学習・自己啓発についても、これまでのデータや、個人的な体感でも感じていましたが、今回のデータを見てやっぱり・・・というよりはどちらかというとショックでした。

それでは、なぜ、社外学習・自己啓発を行っている人の割合が少ないのか、主観ですがその背景を考えてみました。

1)時間・心の余裕がない
2)危機感がない
3)必要性を感じない

やはり、1)の時間・心の余裕がない、というのは一番の理由(言い訳?)かもしれません。

とにかく、私たちは毎日仕事や生活で忙しいので、時間的な余裕がない→心の余裕もない、と連動して、日々こなしているだけで時間が過ぎていく・・・のが一般的です。

余裕がないと、あえて自己啓発をするというハードルを超えるのは、難しいことでしょう。

ただし、現在世の中的にも「働き方改革」が叫ばれていて、労働時間を短縮し、生産性を向上しようという動きになってきていますので、まず「時間を作る」という点では今後の環境の変化も追い風となる可能性も高いです(もちろん、働き方改革は単純に労働時間短縮だけではないので高度な取組ではありますが)。

2)危機感がない、というのは、自己啓発をしなくても特に自分に影響がないとい思いこんでいる人たちが多い、ということが上げられます。

人間はとにかく変化を嫌いますので(笑)、現状維持でいいのなら、あえて自己啓発などしないとなりがちです。

また、3)必要性を感じないは、2)の危機感がないとも類似していますが、現在及び未来においての仕事における知識・スキル・経験について、自己啓発をせずとも問題ないだろう、と思いこんでいる人が多い、ということです。

2)危機感がない3)必要性を感じない、については、従業員側の個人的な原因もありますが、会社が危機感や必要性を持たせる環境にしていないということも原因の1つかもしれません。例えば

・会社として必須研修を年次別に定めておく→定額払いの研修等を受講させる(助成金の対象になる可能性もあり)
・目標管理制度等で、自分の目標・目指すべき課題とのギャップを実感して必要性を感じたときに自ら動き出す
→実際に社内勉強会などがスタートする事例もありました。

という環境作りを行っていく必要があります。

人生100年時代と言われ、キャリアチェンジも求められるため常に自己啓発をしていかなければならないという時代になっていますので、従業員側の1人1人の意識の向上も必要だとは思いますが、とはいえ、本データにもあるように、会社側の人材投資も諸外国と比較しても圧倒的に少ないので(^^;)会社としても意識的に自己啓発に取り組みやすい環境作りを行って いくことが求められます。

ちなみに・・・ご紹介した「未来人材ビジョン」は図が多くて読みやすく、他にも参考になる(衝撃的な)データが掲載されていましたので、今後の日本の人材の方向性を探るためにはとても参考になると思います。おススメです。

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