Case study

メンタルヘルスになるから考えられません、にどう対応するか?

人手不足や新型コロナウイルスの影響もあって、最近はメンタルヘルスのご相談も増えてきています…

個人的には、厳しく変化が求められる時代ですので、体調がおかしくなったり、メンタルヘルスになったりすることは当然ありうるし、むしろ、そうなっても仕方ない環境だと感じます。人間なんだから完璧なんてはずはなく、当然そういうこともありますよね。

一昔前は、体調不良であっても仕事をやるべきという風潮が強く、休むということが難しかったですが、現代は、働き方改革の影響や従業員側の価値観の変化もあって、休むということに抵抗がない社風や環境が増えています。

このような環境にシフトしていることはすばらしいことですが、一方残念なことに、メンタルヘルスを利用した別の問題も出てきています…

たとえば、先日ある管理職の方から、部下がミスをしたため改善案を考えて提出するように指導したところ、部下から「改善案を考えると苦しくなってメンタルヘルスになるので、考えられません」と答えられて愕然とした・・・というお話をお聞きしました^^;

このケースは極端な例かもしれませんが、最近は、依頼された仕事を完結できないときや、業務負担を感じた際に、「メンタルヘルスになるからこれ以上仕事はできません」といわれるケースも、ちらほら出てきているようです。

本来やるべき仕事を「できません」ということは、業務命令違反になります。通常であれば、行動改善を指導して、改善できない場合は、懲戒処分も検討する、という流れになります。

ところが、メンタルヘルスを盾に仕事ができません、と主張されると、会社としては強く言いづらく、この業務命令違反を問えなくなり、お手上げ状態ではないか?と思います。

しかしながら、会社には従業員の健康に留意する安全配慮義務がありますので、このような場合に強引に仕事をやらせるということは難しいのが現実です。メンタルヘルスだけではなく、パワハラの「過大な要求」に該当するというリスクもありますので・・・

それでは、このような場合どのように対応すべきなのでしょうか。

まず、メンタルヘルスか否かについては、本人が決めることではないため、もしそのような可能性があるのであれば、きちんと医師の診断を受けることを進める必要があります。

診断結果が、確かにメンタルヘルスであり、かつ、療養が必要であると診断されたのであれば、

休職制度があれば、休職を命令し、もし休職制度がなければ、職種変更や配置転換が可能であれば検討し、それも難しい場合は、退職も視野に入れて対応していくことが必要です。

一方、もし、診断結果が出ない(病気でない)場合であっても、現実として「病気でないのだからとにかくやれ!」のアプローチは難しいでしょう…

となると、できる範囲でやってもらう、ということになるのでしょうが、当然仕事内容が制限され、本来やってもらいたい業務を任せられないということが出てきます。

もちろん、業務内容が変わることで労働条件の見直しをすることは可能ですので、面談を行い、体調についてヒアリングし、できる仕事範囲のすり合わせを行っていく必要があります。

また、できない仕事はどうするのか?という点が問題になりますが、人数に余裕がある会社であれば、他の従業員がカバーできますが、ぎりぎりの人数で回している中小企業では難しいのが現実です。

寄り添ってあげたいけど寄り添うほどの余裕がない…そんなジレンマを抱えているケースも多いかと思います。現実としては、上司、同僚、経営者がプレイヤーとしてカバーすることが多いようです^^;

とはいえ、いつまでもそのような状態を継続していくことも、物理的に難しいことでしょう。したがって、該当従業員とは、定期的に面談などコミュニケーションをとっていくことが大事です。

会社の立場上、内心は「忙しいから時間をかけたくない」と該当従業員と向き合うことから無自覚に逃げてしまっているかもしれません。

ですが、特にこれからの人材マネジメントは、1人1人と向き合って個別対応を行い個別のマネジメントを行っていくということは不可欠です。

そのためにも面談の場は、必須ですので、必ず端折らずに実施してください。

実際に、面談で対話を重ねることで、従業員の状況把握ができ、例えば

・合意の上、時間を短くして業務範囲を狭めて契約変更を行ったケース

・面談を行ったら本人もできないことを認識しており、迷惑をかけたくないので自己都合退職したいという話になったケース

等、トラブルなく双方納得した決断ができたという事例もあります^^

特に現在は人手の確保も難しい時代になってきていますので、目先の状況だけで決断せずに、長期的な視点を持った決断も必要です。

その場の感情に流されず、無自覚に逃げることなく、対応していくことが大事だと思います^^/

 

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