2022年9月16日のビズアップ総研様主催ウェビナーにて、「育児・介護休業法の基礎知識と実務対応のポイント」の講師を務めさせていただきました。
主催者さまのお話によると、今年開催のセミナーの中でもご参加数が多いセミナーとなったようです^^
160名ほどのお申し込みがあり、当日リアル視聴が120名様程だったということでしたので、育児・介護休業法の改正というテーマに対し、皆様の関心度の高さを改めて認識させていただきました。
今回の育児・介護休業法の改正は、育児休業の分割取得が認められたり、出生時育児休業(産後パパ育休)制度が創設されたりと、これまで以上に柔軟に制度を利用できるようにして、特に男性の育児休業の取得を促進させたい!という目的があります。
改めて言うと、そもそも日本の少子化が大きな背景にあり、仕事と出産・育児の両立の現状と課題として、以下の点があげられます。
【仕事と出産・育児の両立の現状と課題】
①出産・育児で約5割の女性が退職している
②男性の家事時間が短く女性の家事負担が重い
③男性の育児休業取得率・日数が低い
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こうした課題を解決するために、今回の育児・介護休業法の改正が行われています。
【育児・介護休業法の改正内容について】
①雇用環境整備、個別の周知と意向確認(2022年4月1日)
②有期雇用労働者の要件緩和(2022年4月1日)
③産後パパ育休(出生時育児休業)の創設(2022年10月1日)
④育児休業の分割取得(2022年10月1日)
⑤育児休業取得率の公表(2023年4月1日)
⑥育児休業給付等の改正(2022年10月1日)
一番大きな改正内容は、③産後パパ育休(出生時育児休業)の創設(2022年10月1日)です。
いわゆる男性版産後休暇となるのですが、特徴としては、労使協定を締結すると産後パパ育休中に一定の範囲内で就業が可能という点です。
休業中なので、本来は休業するのが原則です。それでも男性の育児休業の取得が進まない理由・背景を考えると、一部就労しながらも育児休業がができる、という選択肢があることで産後パパ育休の取得のハードルを下げたいということがあるのでしょう。
また、これまで例外を除いて、原則1回の取得しか認められていなかった育児休業の取得回数が、原則2回の分割取得が可能となったことで、夫婦での交代取得の幅が広がり、仕事と育児との両立を実践しやすい環境が整ったということがいえるでしょう。
育児・介護休業に関する制度は改正も多く、年々複雑化してきています。特に今回の法改正により、育児休業などの柔軟な取得が可能になっておりますが、一方で、企業内の労務管理や社会保険・雇用保険の手続きはこれまで以上に煩雑化しています。
今回の育児・介護休業法の改正にとどまらず、今、国が進めている働き方改革も、多様な人材を活用していくという方向性を考えると、労務管理全般も、今後ますます複雑化していくのではないかと感じています。
私たち社労士に対するご相談内容も、年々複雑化・個別対応化してきていると感じますが、難易度が高くなっているからこそ、労務管理に悩む企業さまのお役にたてる専門家でありたいと改めて思います^^