労務管理

人材育成においてまずやるべきこと


人材育成や従業員教育に興味関心があっても、どこから手をつけていいのかわからない・・・という会社様も多いかもしれません。

まずは、各従業員が担当する業務内容には、どんな能力が必要で、そのためにはどんな研修が必要なのか・・・ということを体系的に整理した上で、それぞれの役職や役割にふさわしい研修内容を選んでいく必要があります(ここがきちんとできますと、研修費用等を一部助成してもらえる「人材開発助成金(旧:キャリア形成促進助成金)」 の対象にもなってまいります)。

人材への投資は、どちらかというと「これさえやればするに効果があがる!」というものではありませんが、「長期的に」「体系的に」「継続して」実践していくことで、必ず効果があります。

キャリアマップとスキルマップ
キャリアマップとは、職種や部門別のレベルごとにキャリアの道筋と各レベルの習熟の目安となる標準年数を示したものをいいます。キャリアマップで社員に対してキャリア形成の道筋を示すことで、効率的・効果的なスキルや能力を習得し、人材育成を実践することを目的としています。

また、あわせて自社における担当業務を職種やレベルごとに具体的に記述し、求められているスキルをまとめた「スキルマップ」を作成しましょう。各レベルや各等級に必要なスキルを習得するために社員研修等を実施することになります。

また、人材育成における研修制度を導入する場合も、職種やレベルごとに必要な能力を身に着けるために研修を受けさせるというスタンスが大事です。実務的には、多くの会社では

「当社の管理職にはマネジメント力が足りないからマネジメント研修をうけさせよう。」
「当社の若手従業員は、コミュニケーション力が足りないから、コミュニケーション研修をうけさせよう。」
と、研修ありきの受講スタイルが定着していますが、本来は「身に着けなければならない能力」があって、その能力を習得するための研修の実施という順番が必要です。

会社のルールとして就業規則が必要なのと同じくらい、人材活用においてスキルマップを作成することは、基本中の基本だといっても、過言ではありません。

もしも、本気で人材活用を考えるのであれば、たとえ最初は大枠のみでもかまわないので、ぜひ自社の職種・レベル・役職ごとに必要な能力をまとめたスキルマップを作成してみることからスタートしてみてください。

階層別研修とは
階層別研修とは、役職別、職種別に必要な能力や知識を習得させるために定期的に実施される研修のことをいいます。例えば【レベル2】から【レベル3】へレベルアップするため【レベル3】の候補者に、マネジメント力や問題解決力を習得する研修を実施します。

現在、最も課題とされている人材育成のテーマは、管理職のマネジメントスキルやリーダーシップスキルの習得です。

そもそも会社における管理職の役割とは、会社の経営理念やビジョンを現場に翻訳して伝え、実践指導をする役割と、現場や実務での問題や課題を吸い上げ、会社に報告し改善実践するという役割を担っています。

また、人手不足や少子高齢化による労働力人口の減少などの背景を踏まえて、育児介護と仕事の両立のための柔軟な働き方や多様な人材の活用推進、労働時間の削減と生産性の向上を目的として「働き方改革」を実践するためには、管理職として、チーム全体の成果と生産性を上げることが求められています。

もともと管理職になる方は、プレイヤーとして優秀な人材が多いですが、チーム力を上げるためには人材育成が必要不可欠です。管理職が自分自身のプレイヤーとしての活躍を手放し、その分部下育成のマネジメントへシフトを行うことで、チーム力全体がアップすることが求められています。

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